青空や白い壁などを見ているとき、目の前を小さな虫か糸くずのような影が動くように感じたことはありませんか。目の前で「黒い物が飛ぶ」ことを眼科では、フローター「飛蚊症」と呼びます。
原因は?
主なものは眼球の硝子体の変化です。硝子体は水晶体の後ろにあり、眼球で一番大きな体積を占めている、どろっとした物質です。40歳を超えると、どろっとした卵の白身のような硝子体に変化が起こり、硝子体が少しづつ収縮するようになります。硝子体が収縮すると、一部が目の奥にある網膜からはがれ、はがれた硝子体の影が網膜に映って、小さな虫や糸くずみたいに見えます(後部硝子体はく離)。これが、ほとんどの飛蚊症の正体で、「後部硝子体はく離」によっておこる飛蚊症は、老化現象のひとつといえます。特に、強い近視の人には早くから飛蚊症が起こりやすい傾向がみられます。
飛蚊症そのものは、一度起こると、元には戻りません。最初は目の前に黒いものがちらつくので、うっとうしく感じるかもしれませんが、しばらくすると、ほとんどの人は、気にならなくなります。飛蚊症があっても、それだけで目の状態が急速に悪化することはなく、その意味ではほとんどが心配ない、ということがいえます。
注意すべきは?
この時に強く引っ張られ、網膜に穴があいてしまうのが「網膜裂孔(もうまくれっこう)」です。「後部硝子体はく離」を起こした人の6~19%に、「網膜裂孔」がみられます。この時点で裂孔が見つかれば、レーザーをすることによって、「網膜剥離」に進展するのを防ぐことができます。たとえ「網膜剥離」になっても、現代の手術の進歩は素晴らしく、手術をすれば100%に近い確率で治療することができます。
飛蚊症を自覚されたら、眼科を受診し、放置して良いものかどうか、診てもらうことが大切です。
